しばらく投稿していませんでしたが,ブログをきっかけに連絡をいただく機会があったり,そもそも自分が読んだ論文の整理をさらっとやりたいとおもったり。ということで,またはじめようと思います。
今回は,Impact factorと最近よく目にするEigenfactor Scoreについて。
権威あるジャーナルというとImpact Factor(IF)が大きな指標になっている現状があるかと思われますが,そもそもなにかというと,
『特定の1年間において、ある特定雑誌に掲載された「平均的な論文」がどれくらい頻繁に引用されているかを示す尺度。一般に、その分野における雑誌の影響度を表す。』(Clarivate Analyticsより)
とのことで,
A=2015年、2016年に雑誌Pに掲載された論文が2017年中に引用された回数
B= 2015年、2016年に雑誌Pが掲載した論文の数
雑誌Pの2017年のインパクトファクター=A/B。
ちなみに看護領域で現在最も高いIFを誇る雑誌は『International Journal of Nursing Studies』で3.755,2位は『European Journal of Cardiovascular Nursing』で2.763。まだまだ他の科学分野と比べると道半ばにあることがわかります・・・。
ちなみに私が関係する小児看護領域でIFトップは『Journal of Family Nursing』の2.537。
純粋に小児だと『Journal of Pediatric Health Care』で1.46でした。
これに対して,Eigenfactor Scoreとは,
『学術誌の影響指標についてはImpact Factorが広く使われてきたが,引用数を発表数で割るという単純な指標で、発表数の少ない,つまりマイナー雑誌が有利で,その数値が一人歩きして勝手にランク指標として扱われるなどさまざまな弊害がでていた。Eigen Factorはこれらの弊害をかなり減らすことに成功し,あらたな指標として注目を浴びている。』(中西印刷H, EIGENFACTOR HPより)
計算式はなんだかよくわからないけど,その領域の研究者が相対的に重要視している雑誌がわかるってことかなっていう理解で,改めて看護領域のEigenfactor Scoreを見てみると,
首位はIF1位と同様で『International Journal of Nursing Studies』(0.01295)。しかし2位には0.01198で『Journal of Advanced Nursing』が入った。『Journal of Advanced Nursing』は,IFだと1.998で看護13位だけど,引用数は2位の『International Journal of Nursing Studies』7,186の約2倍を誇る14,739でダントツのトップ。どっちも看護領域からすると際立っていますが,この値は他の看護の雑誌と比べるとさらに飛び抜けて高い値。こうした結果が反映されたデータなのだと思われる。
大学での国際化推進の流れを受けて,まさに今,分野で抄読会の改造を図っていますが,
いろいろ整理するなかでわかったこと。
看護系の英文雑誌, 『International Journal of Nursing Studies』と『Journal of Advanced Nursing』は要チェック。
そんなの常識でしょと思った看護研究の先生がいらしたら,ぜひその感覚を教えていただきたいです。 これが実際に看護系の英文雑誌を読みあさっている先生の感覚とマッチしてたら良いけども・・・と思いながら。コメントいただけると幸いです。
記事中のデータはClarivate Analyticsより,
[Journal Data Filtered By: Selected JCR Year: 2016 Selected Editions: SCIE Selected Categories: 'NURSING' Selected Category Scheme: WoS]で検索した結果を元にお話ししています。
そんなの常識でしょ、とまでは言いませんが、自分の感覚でもその認識は正しいと思います。IJNSは英国で編集長の先生の講義を受けましたが、レビュー論文を推奨していてそれがIFが高い理由の1つと思います。Eigenfactorは出版する論文の数が多いと上がる傾向にあり、JANは断トツに年間の出版論文数が多い雑誌だったと思うので、その影響を受けていると思います。これら2つは総合誌ではありますが、JAMAやLancetなどのように誰もがチェックするレベルではないですね。看護領域でもそういう雑誌が出るといいなあと常々思います。
返信削除